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3.22016
生005 : ノア動物病院 林院長が取り組む保護猫譲渡支援活動
最近、町でよく見かけるようになった「猫カフェ」。店内で飲み物を飲みながら猫と触れ合える「癒しスポット」として、外国人観光客にも大人気なのだとか。 この猫カフェに注目し、ちょっと変わった猫カフェを「Hako bu neco(はこぶねこ)」を経営、保護猫の譲渡支援活動に取り組んでいるのが、ノア動物病院の林文明院長です。 今回はHako bu neco八王子店にお邪魔して、独自の取り組みについて詳しくお話を伺いました!
「保護猫」が主役!里親募集型猫カフェ ―ノア動物病院では、現在2か所(山梨県昭和町と八王子市)で、猫カフェ・Hako bu necoを経営されています。Hako bu necoの特徴は何ですか?
林先生:最大の特徴は、カフェで活躍している猫のほとんどが、保護猫である点ですね。動物愛護団体リトルキャッツさんで保護された猫たちを、ノア動物病院で1~2ヶ月かけて健康管理し、その上でHako bu necoの店舗に出しています。 お客様は店内で気に入った猫がいれば申し込みをして、後日リトルキャッツの担当者と面談、ヒアリング等の審査を受け、問題がなければ猫を引き取ることができるシステムです。譲渡にかかる手続きはリトルキャッツさんとお客様とで直接行ってもらい、去勢・避妊手術代やワクチン代金等の実費もリトルキャッツさんにお支払いただきますので、Hako bu necoやノア動物病院に追加料金を支払う必要はありません。マイクロチップ、各種検査、治療にかかった費用はノア動物病院が負担します。
動物病院運営の猫カフェだからできる、万全の健康管理 ―保護猫は持病を持っているケースも多く、健康管理が大変なのでは?
林先生:先ほど申し上げた通り、リトルキャッツさんの保護猫を、約1~2ヶ月間ノア動物病院でお預かりし、その間に猫エイズ、コロナウィルスの検査など、さまざまな検査を行います。そして必要があれば治療をして、万全の健康状態でカフェに送り出しています。もちろん、カフェに出るようになってからも、健康管理は徹底。伝染病対策も万全ですから、安心して猫と触れ合っていただけます。 また、人慣れしている猫ばかりですのでお客様にもみんなかわいがっていただいています。そして、現在は、子猫を扱っていません。それは子猫は新しい飼い主が見つかりやすいため、あえて生後1年以降の猫のみがここにいるのです。
―素晴らしいシステムですね!開業のきっかけはなんだったのでしょうか?
林先生:ノア動物病院では、設立以来「すべての動物たちを救いたい」を理念として掲げています。
保護猫についても以前から何かできることはないかと考えていたのですが、いいアイディアがなくて…。そんな時、都内で猫カフェを経営していた知人から「店の猫が高齢になったり、病気になったりしたらどうすればいいだろう?」と相談を受けたんです。私は猫を短期間で入れ替えるシステムにすべきだと提案したのですが、そのためには、猫をたくさん確保しなくてはいけないので、いろいろな問題が生じます。そこで思いついたのが、保護猫の活用でした。譲渡先が決まるまでの期間限定なら、猫へのストレスや負担も少ないと考えたのです。 それに猫カフェなら、動物愛護団体のことを知らない若い人や、「譲渡会は敷居が高くて参加しづらい」という方にも気軽に来てもらいやすいので、譲渡率UPにも貢献できると思いました。
週に1頭のペースで譲渡先が決定
―どのくらいのペースで譲渡が成立しているのですか?
林先生:時期によってばらつきはありますが、平均して週に1頭、月に4頭のペースで譲渡が成立しています。経営は正直言って大変ですが(笑)、猫を飼いたい人と保護猫との出会いの場を提供できるのは、非常にうれしく、やりがいを感じています。今はまだ2店舗ですが、今後は全国展開をしたいと考えているんですよ。実際、ほかの動物病院の先生から「自分もHako bu necoのような猫カフェを開設したい」とご相談を受け、ノウハウをお伝えしたこともあります。今後、各地の動物病院と提携して地域ごとにHako bu necoを開店できれば、保護猫と一般の方の出会いの機会が増え、結果として殺処分数も減らせるのではないかと期待しています。
同時に保護犬についても、構想を温めているところです。犬の場合
は猫のように「カフェ」というわけにはいきませんが、知恵を絞って、犬を飼いたい人と保護犬をうまくマッチングできる仕組みを作っていきたいと考えています。
動物の治療やケアだけでなく、人と動物の出会いや共生をサポートすることも、私たち獣医師の大切な役割。愛護団体の皆さんとも上手に連携しながら、動物と人がもっと豊かに暮らせる社会づくりに貢献していきたいですね!
―林先生、ありがとうございました!今後の展開に期待しています!