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2.102017
しゃベル ✕ ワンブランド わん!ダフルストーリー Vol.50
飼い主さんをも噛んでしまうチワワに劇的変化が! “Tタッチ”で愛犬も家族も健康&ハッピーに
■Tタッチで「体・精神・情緒」をバランスよく整える
Tタッチを知っていますか?正式には「テリントンTタッチ」といい、1980年代に著名な馬のトレーナーであるリンダ・テリントン・ジョーンズによって考案されたメソッドです。いわゆるマッサージとは異なり、Tタッチと言われる独特のタッチワーク(指で円を描きながら身体を優しくなでる方法など)で動物の神経に刺激を与えることによって、動物の心のバランスを整えたり、身体の動きを高め、最終的には行動の問題にアプローチしたり自然治癒力を高めることが期待できるメソッドとして高い評価を受けています。
都内に住む油木真砂子さんは、ドッグトレーナーとして研鑽を重ねる中でTタッチと出会い、2009年にTタッチのP1認定プラクティショナー資格を、そして2011年には日本で初めてのP2認定プラクティショナーを取得。現在は各地でTタッチのワークショップや講習会の講師として活躍するほか、愛犬の行動の問題や健康問題に悩む飼い主さんの要請に応じてTタッチによる出張ケアやトレーニングを実施、全国を飛び回る忙しい日々を送っています。
油木さんによると、Tタッチは犬の身体の状態を整えることよって、心身の問題を改善に導くケア方法。
「過剰な吠えや噛みつきなどの問題がある犬の多くは、体のどこかに不調(痛い、違和感など)を抱えていたり、生活環境に何らかのストレスを感じたりしています。人間もそうですが、犬も体・精神・情緒の3つがバランスよく整っている状態が真の健康な状態。しかも、この3つはお互いに影響し合っています。私たち人間も体の調子が良いと気分も明るくなりますし、悲しいことがあると体の調子まで狂ってしまうこと、ありますよね。犬も同じなんです。Tタッチは3つのうち『体』を整えることで、犬の精神や情緒の状態を整え、行動の問題に対してアプローチするメソッドなのです」。
■Tタッチの実例
~家族をも噛んでしまうチワワと寝たきりのシュナウザーに起きた変化とは?
では、Tタッチのケアを受けると、犬たちにはどのような変化が起きるのでしょうか?実際に油木さんのケアで犬の行動による問題や健康状態に改善が見られた例を教えていただきました。なお、犬による個体差があるので、すべての犬にこれらの変化が起きるとは限らないことを予めご了承ください。
CASE1 家族をも激しく噛んでしまうチワワ
体を触られると激しく反応し噛んでしまうチワワ。Tタッチ、トレーニング、薬膳による食事改善を併用して行ったところ、数か月で解消。今では飼い主さんと楽しく生活できるようになりました。
⇒油木さんによると、このチワワは肥満状態(体重7kg)で血液検査の結果にも問題があったそうです。
「太り過ぎで関節に負担がかかっていることもあって、体に痛みあるいは違和感があったのでしょう。Tタッチで体の状態を整え、薬膳でダイエットに励んだところ、体重が減って体調も改善。血液検査の結果も正常値範囲内に。飼い主さんやトリマーさんを悩ませていた過剰に反応して噛む行動が解消しました」。
CASE2 寝たきりのミニチュアシュナウザー
13歳の高齢犬。1週間に2度も手術を受けたため体力が低下。初訪問時には横たわったままで立ち上がることもできない状態。黄疸の症状も出ており、担当の獣医師からは「いつどうなるかわからない」と言われていた。飼い主は寝たきりであっても生活の質の向上を目的に、Tタッチによるケアを希望。油木さんは獣医師と相談しながらTタッチのケアを開始。何度か続けるうちに、体力が回復。外に散歩に出かけられるようにまでなった。
⇒Tタッチは医療行為ではないので、病気やけがを治癒することはできません。油木さんいわく「Tタッチが目指すのは、その犬にとってベストな状態に導くこと。このシュナウザーの場合は、「寝たきり」がベストな状態ではなかったのです。つまり、もう一度立ち上がれるエネルギーがまだ残っていたということ。そのエネルギーを使える状態になるようにお手伝いするのが、Tタッチの役割です」。
■「愛犬のためにできること」がある素晴らしさ
このように数多くの実績を残しているTタッチですが、油木さんは「本来、Tタッチは何か問題が起きてから始めるのではなく、心身共に元気な愛犬にこそ行ってほしいケアなのです」と話します。「犬の寿命が延びている今、残念なことに病気になってしまったり、足腰を悪くして寝たきりになってしまったりする犬が増えています。せっかく寿命が延びても健康でなければ、生活の楽しみは半減。ぜひ若いうちからTタッチをはじめとするケアやトレーニング、そして食事改善に取り組み、健康を維持してほしいと願っています」。そして、油木さんは「犬の健康に役立つケアや食事を学ぶことは、犬のためだけでなく、飼い主さんのためにもなるんですよ」と指摘します。
つまり、愛犬が体調を壊したとき、年老いて体力が失われたとき、あるいは「余命」を宣告されてしまったとき、飼い主さんにとって何より悲しく、もどかしいのは、愛犬のために何もできない自分の無力さ。「でも、事前に愛犬の健康に役立つ何かを学んでおけば、きっとできることはあるはずなんです。Tタッチを学んでおけば痛みを和らげてあげられるかもしれないし、リラックスさせてあげられるかもしれない。薬膳を学んでおけば、少しでも免疫力を高める食事を作ってあげられるかもしれませんよね。愛犬のために何かをしてあげられているという実感が、私たち飼い主を支えてくれるのです」。
■「犬嫌いは犬好きが作る」~もっと犬と共生しやすい社会を作るために
もう1つ、油木さんが飼い主さんに伝えたいと願っていることがあります。それは、「犬嫌いを作らないようにしよう」ということ。
「犬嫌いを作るのは、犬好きの人たちであることが多いんです。たとえば、しつけされていない犬に飛びかかられたのがきっかけで、犬嫌いになっ
た人もいるでしょうし、清潔にしてもらっていない犬やトイレトレーニングのできていない犬を見たがために、犬は不潔だと思い込んでしまった人もいるでしょう。要するに、犬を好きで飼っているはずの人のマナーの問題で、周囲に犬の悪印象を植え付けているケースが多々あるのです」と油木さんは指摘します。
「最近は、犬連れで出かけられるお店や施設が増えたこともあり、街で犬を見かける機会がすごく増えました。犬が人間社会により広く溶け込みつつあること自体は嬉しいことですが、飼い主のみなさんには、マナーを守ることがより強く求められていることを、心に留めておいていただきたいと思います」。
今後も、Tタッチだけでなく、犬のための薬膳の普及にも力を入れていきたいと話す油木さん。「犬と人がともに幸せであるためには、両方が心身ともに健康でなくてはなりません。これからも犬と人、両方を元気にするトレーニングや食事内容の提案を続けていきたいと思っています。そして、犬と人が心地よく共生できる社会の実現に、微力ながら貢献できたらいいなと願っています」。
〇 油木さんのブログ:FRANCESCA Care Partner