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しゃベル ✕ ワンブランド わん!ダフルストーリー Vol.32
「犬は私の守り神」。紀州犬+甲斐犬2頭に守られる幸せな日々

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■甲斐犬ゴンが紀州犬小梅にメロメロに!

皆さんにとって愛犬はどんな存在ですか?「家族」「友だち」「癒し」等‥、きっと人によって答えは様々ですよね。

三重県に住む柿沼薫さんにとって、愛犬は常に「守り神」でした。

「小学生のころ、近所の公園で親戚のおじさんがふざけて私に覆いかぶさってきたことがあったのです。単に遊んでいただけなのですが、パッと見て私が襲われていると思ったのでしょう。当時すごく可愛がっていた野良犬が全速力で走ってきて叔父に向かって唸り、歯をむきました。普段は他の野良犬にいじめられてしまうような弱弱しい犬だったのに、必死で私を助けようとしてくれたのです。文字通り体を張ってくれた犬の姿に『ああ、この子は私を守ろうとしてくれているんだ。私のために勇気を振り絞ってくれているんだ…』と感激。以来、犬は私にとっての守り神になりました」。

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紀州犬らしく凛々しい表情の小梅

そして数十年後の今、柿沼さんと一緒に暮らす「守り神」は全部で3頭。甲斐犬のゴン(5歳、雄)と疾風(はやて、2歳、雄)、 そして紀州犬の小梅(3歳、雌)です。実は小梅を飼うことは柿沼さんにとって想定外のことでした。

「子犬は知り合いの紀州犬ブリーダーさんのもとで生まれた子犬。良い飼い主がみつかるまで預かってくれ…と頼まれたので、ほんの少しの間のつもりで引き受けたのです。当時すでにうちにはゴンがいましたし、紀州犬は飼うのが難しいことも知っていましたので、うちに迎えるつもりは全くありませんでした」。

しかし、ここで意外な展開が!

なんと先住犬のゴンが、当時生後2か月の小さな小梅にメロメロになってしまったのです!小梅が来たその日からぴったりと小梅に寄り添い甲斐甲斐しく世話焼くゴン。「まるで本当の兄妹のように仲の良い2頭を離れ離れにしてしまうのも可哀そうで…。それで仕方なく小梅を手元に残すことにしたのです」と柿沼さん。その1年後にゴンと同じ甲斐犬の疾風を迎え、柿沼家の飼い犬は全部で3頭に。文字通り犬中心の大賑わいの生活が始まったのです。

 

小梅姫、行方不明事件勃発!

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軽トラに乗ってお出かけ♪

一緒に暮らしているとはいえ、当然3頭の個性は三者三様。性格の違いが一番よく出るのが、おやつをあげた時の反応だそうです。

「おやつのガムをあげたとき、すぐに食べてしまうのが小梅。ゆっくり味わって食べるのがゴン。そして砂の中や物陰に隠すのが疾風ですね。そして疾風が隠したおやつは小梅に横取りされちゃうっていうのがいつものパターン(笑)」。

そんな3頭の一番の楽しみは、柿沼さんと一緒に近くの山や川に遊びにいくこと。車で人気のない山の中に行ってかけっこをして遊んだり、きれいな川で泳いだり…。「甲斐犬も紀州犬も、もともとは狩猟犬だっただけに、大自然の中で思いっきり体を動かしているときが、一番イキイキしていますね。遊びに付き合うのは体力的に大変だけど、できる限り自然の中に連れてきてあげるようにしています」と目を細める柿沼さん。

しかし、3頭の中にはそんな柿沼さんを時々困らせるコが1頭…。そう、ゴンに甘やかされて育った柿沼家のお姫様・小梅です。紀州犬の小梅は足がすごく早い上に、猟犬としての血が騒ぐのか、山でイノシシやシカの気配を感じるとすっ飛んで行ってしまうのです。一度など柿沼さんの制止を振り切って走っていってしまった小梅、山を越えてかなり離れた場所で保護され、保健所に連れていかれたことも…!

「すぐに警察や保健所に連絡しておいたので事なきをえましたが、本当に肝を冷やしました。できる限りのしつけをして注意をしていても、この子たちには狩猟犬として代々受け継がれてきた血が流れているんですよね。甲斐犬や紀州犬を飼う際には、そのことをしっかり頭に入れて、ちゃんと対策をしておくべきだと実感しました。逃げ出さないように注意するのはもちろん、3頭の首輪には自宅の電話番号と犬の名前をしっかり書いて、万が一離れ離れになってしまってもすぐに身元が分かるようにしています」。

 

飼い主がバイクで転倒!そのとき3頭は

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川遊びも大好きです!

このほかにも、避妊手術後わずか3日しか経っていないにもかかわらず、散歩で山の中を走りまわってしまい、つけていたエリザベスカラーをボロボロにしたり、疾風をケージから追い出してしまったり疾風のおやつを横取りしたり…とエピソードには事欠かない小梅。「小梅は本当にお転婆で、そのくせ少し内弁慶。子犬のころに家からほとんど外に出さなかったので、社会性が上手く身についていないところがあって、他の犬と仲良くするのもあまり得意ではありません。でも不器用な分、とても優しいコなんですよ」と柿沼さん。先日も小梅の優しさを実感する出来事があったそうです。

その日、柿沼さんはバイクで伴走しながら3頭を走らせていました。するとふとした拍子に柿沼さんのバイクが転倒。柿沼さんはろっ骨を骨折、手首を複雑骨折する大けがを負ってしまったのです!口の中も切れてしまい、柿沼さんの顔は血まみれに…。事故の衝撃とケガの痛さでとっさに動けず、地面に横たわる柿沼さんに駆け寄って顔を舐め続けたのは…そう、あの小梅でした。

「小梅が傍にいてくれるだけで、すごく心強かったですね。ゴンと疾風はびっくりして遠巻きにこちらを見ているだけ。やっぱりいざというときは、女の方が強いのかもしれませんね(笑)」。

 

■犬たちを守るために飼い主ができること

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遊び方もダイナミック!

事故の時は小梅に後れをとってしまったゴンと疾風ですが、もちろん、この2頭の存在も柿沼さんにとって大きな支えになっています。

「別に何かをやって欲しいわけではないんです。ただ一緒に暮らして、3頭が元気でいてくれたら私はそれで満足。3頭の姿を見ているだけで癒されますし、とても心が落ち着きます。3頭に守られてる…そう感じることができるのです。私もできる限りのことをやって、3頭がもっと幸せに暮らせるように守ってあげたいって思っています」。

3頭を守るために柿沼さんがやっていること。それは3頭をちゃんとしつけるためのトレーニングです。

「人に迷惑をかけないように、ちゃんとトレーニングをするのが私の役目。社会の一員として地域の皆さんに受け入れてもらえないと、結局は犬たちを不幸にしてしまうと思うのです。とくにうちのコたちは見た目で怖がられることが多いので、なお一層、ちゃんと人や他の犬と接することができるようにしてあげないと」。

自宅の近くにはドッグトレーナーがいないため、柿沼さんは片道数時間離れた町にあるトレーニング教室に数回通い、トレーニング法を習いました。今はその内容をベースにテキストを見ながら、マズルコントロールをベースにしたトレーニングを3頭に実施しています。

「はじめはトレーニングを嫌がっていた犬たちも、トレーニングに慣れてきました。ちかごろはトレーニング用のマットを持って来ると3頭が競ってそのマットの上に乗ろうとするんですよ(笑)。少しずつ他の犬との接点も作っているので、最近は小梅にも仲良しの友達犬ができました。文字通りの『箱入り娘』だった小梅も、少しずつ外に出て社会に溶け込んでいけたら嬉しいですね」と柿沼さん。

「甲斐犬も紀州犬も本来はとても温和で人に従順な犬。トレーニングで長所を伸ばして、甲斐犬や紀州犬の魅力をたくさんの人にしってほしいなと思っています」。

 

■しゃベル ニッポン放送

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