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8.212016
しゃベル ✕ ワンブランド わん!ダフルストーリー Vol.26
自宅での出産&図鑑モデルも経験!
甲斐犬の母娘ディアナ&マイアが結ぶ家族の絆
■甲斐犬に一目ぼれ!
甲斐犬を知っていますか?
もともと山梨県の山間部に生息していた中型犬をもとに、猟犬として繁殖を繰り返して作り上げられた日本固有の犬種で、国の天然記念物にも指定されています。
特徴は、引き締まった体躯と虎毛混じりの美しい黒毛。猟犬らしく気の強い一面がある一方、信頼する飼い主に対してはとっても従順で甘えん坊な一面も。「そのギャップこそが、甲斐犬の魅力!」ということで、甲斐犬にどっぷりハマる飼い主さんも多いそうです。
千葉県に住む山田夏子さんも、その一人。
約7年前、戸建に引っ越したのを機に、念願だった犬を飼おうということになった山田さん一家。娘さんがたまたまみつけたペットショップに家族で行ってみると…、そこは偶然にも日本犬を中心に扱うブリーダーのショップだったのです。
もちろん、山田さんは日本犬を探していたわけではありませんでした。でも、「真っ黒でモコモコした子犬のかわいさに一目ぼれ。甲斐犬のことは詳しく知りませんでしたが、全員一致で飼うことを決めました」。
それが、現在の山田家の愛犬2頭のうちの1頭、ディアナ(雌、6歳半)です。
ディアナと一緒に暮らすようになった山田さんが驚いたのは、まず、その賢さでした。子犬にありがちなイタズラはしたことがないというお利口さん。犬の十八番「盗み食い」をしでかしたのも、たった1度だけ。しかも「いけない!」と叱ると、加えていた食べ物を食べずに返したそうです。
そしてもう1つ驚いたのは、ディアナに家族の体の不調を感じ取る力があること。家族の誰かが体を壊して休んでいると、そっと近づいて、すぐそばで見守ってくれるのだとか…。
「甲斐犬って本当に可愛くて飼いやすい!」と感動した山田さん。かかりつけの獣医師に「こんなに良い性質の甲斐犬なのだから、血筋を残した方がいい」とアドバイスされたこともあり、ディアナに出産をさせることにしました。
■自宅での出産!そのときディアナは…?
その後、2度目の挑戦で新たな命を身ごもったディアナ。山田さんは病院ではなく自宅で出産をさせることにしました。自宅の1室をディアナの産室にして手作りの産箱も設置。準備万端で出産の日を待っていたある日の夕方…、当時中学生だった息子さんがテレビを見ていると、ディアナの産室から子犬の鳴き声が!
覗いてみると、ディアナが産み落とした小さな子犬が1頭、部屋にいるではありませんか!ディアナは産箱の中ではなく、部屋の隅で出産をしていたのです。突然の出来事に息子さんはどうしていいかわからず、涙声で山田さんのご主人に電話。ご主人から電話を受けた山田さんが急ぎ帰宅してみると、ディアナは生まれた子犬たちの身体をきれいに舐め、甲斐甲斐しく世話をしているところでした。
「初めての出産のはずなのに、何でも自分でできてしまうディアナの母性に家族全員が感動しました。特に命の誕生を初めて間近に見た子どもたちには、すごくいい経験になったと思います」。
ディアナが生んだ子犬は全部で3頭。山田さんは、このうち2頭を希望者に譲り、1頭を「マイア」と名付けて家に残すことにしました。
「ディアナが本当にいい子だったので、マイアもきっとそうだと思っていました。甲斐犬=手がかからない、と思い込んでいたんです。でも、それは間違いでした(笑)。当たり前のことですが、犬にも性格があるんですよね。マイアはお利口さんのディアナとは違って、本当にお転婆な天真爛漫系。子犬にありがちなイタズラは、すべてやられちゃいましたね(笑)」。
■ディアナ、スカウトされて図鑑デビュー!
犬を飼い始めて以来、ブログやSNSを通じて「犬友」ができ、行動範囲も広くなったという山田さん。特に多いのは、同じ甲斐犬の飼い主さんとの交流です。特に年に2回、山梨県の韮崎市で開かれる「甲斐犬愛護会の展覧会」に行き、甲斐犬を見たり飼い主同士で交流するのが何よりの楽しみだといいます。「ディアナは展覧会向きではないので(笑)、展覧会の審査に出ることはなかったのですが、マイアはこれから少しダイエットして体を引き締めたら、再び審査出場も挑戦してみたいと思います」。
また、他の犬のイベントに参加した時には、思わぬ機会に恵まれました。取材にきていた犬の図鑑の編集者に「甲斐犬」のモデルとしてスカウトされ、見事、図鑑に掲載されることになったのです!
「とても良い記念になりました。犬たちのおかげで、たくさんの人と出会い、未知の世界を知り、さまざまな新しい経験をすることができました。本当に感謝しています」。
■「子はかすがい」ならぬ「犬はかすがい」
それにしても山田さん、仕事に家事、そして3人のお子さんの子育てに加え、2頭の犬の世話もあるので、実はものすごく大変なのでは…?
しかし、山田さんは逆に「2頭のおかげで、忙しい毎日を乗り越えられている」といいます。
「仕事に疲れて帰って来たときも、家事でへとへとになったときも、2頭の顔を見ると心が癒されて気持ちがほぐれてくるのがわかります」と山田さん。
「それに難しい年ごろの子どもたちとのコミュニケーションにも、2頭が大きな役割を果たしてくれています。ディアナやマイアの話題がきっかけで、会話が始まることもしばしば。犬たちの世話は子どもたちも主人もよくやってくれます。子どもたちが成長するにつれて、家族がバラバラに過ごす時間がどうしても多くなってしまいますが、ディアナとマイアが私たちをしっかりと結び付けてくれているような気がします。まさに『子はかすがい』ならぬ『犬はかすがい』ですね(笑)」。
これからも、2頭の犬と一緒にいろいろな場所に出かけ、たくさんの人や犬と出会って楽しい時間を過ごしたいという山田さん。「いろいろな人に私たちと犬の様子を見て、甲斐犬の魅力を多くの人に知ってもらいたいですね。そしてこの素晴らしい犬種が次代に脈々と受け継がれることを願ってやみません」。