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しゃベル ✕ ワンブランド わん!ダフルストーリー Vol.7
山中に捨てられた子犬がCMデビューするまでの奇跡の物語

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もしも捨て犬を見つけたら、皆さんはどうしますか?家に連れて帰る、保健所に通報する、そのまま放置する…と、選択肢は人それぞれでしょう。でも、忘れないで欲しいのは、選択肢次第でその後の犬の運命が大きく左右されるということ。今回は、不思議な運命をたどって、なんとドッグモデルとしてデビュー、テレビコマーシャル出演まで果たした元捨て犬・メイの奇跡のストーリーをお届けします。

捨てられて牛舎に住み着いた子犬

メイと諸星さん

メイと諸星さん

群馬県を拠点にドッグトレーナーとして活躍中の諸星清美さん。もちろん自身も愛犬家で、ジャックラッセルテリアのシャドー(♂15歳)、メイ(♀10歳)と一緒に暮らしています。

諸星さんとシャドーとの出会いは、今から15年前。「戸建てに引っ越したので、念願だった犬を飼おうと思っていたときに、ペットショップで出会ったのがシャドーでした」。シャドーとの出会いがきっかけで、諸星さんの生活は一変。保護犬のレスキュー活動に参加したり、ドッグトレーナーの勉強を始めたりするようになり、次第に犬関係の人脈が広がっていきました。

そんなある日、諸星さんのもとに知り合いから1本の電話が。「ジャックラッセルと思われる子犬が家具店に保護されている」とのこと。話を聞いてみると、ある家具店の経営者夫妻がドライブ中に山道で子犬を発見。近くの酪農家の方に聞くと、その犬は捨て犬で数日前から牛舎に住み着いてしまい、困っているということだったそう。不憫に思った夫妻は子犬を連れ帰ったものの、自宅で飼うつもりはなく、とりあえず店の事務所に置くことにしたのだとか。「何かできることがあるかもしれない」と思った諸星さんは、とりあえず家具店に向かうことにしたのです。

到着した家具店で対面した子犬は、たしかにジャックラッセル。少し長めの毛並みが特徴の真っ白い子犬でした。家具店の夫妻の話によると、保護されるまで牛舎にいただけに、数回洗ってもニオイがとれないほど汚れていたといいます。「保護されていたのは事務所の一角で、とても良い環境とは言えない場所。やむをえず私が預かって里親を探すことにしました」。こうして、メイと名付けられたその子犬と諸星さん一家の生活が始まったのです。

なかなか埋められなかった心の溝

とはいえ、諸星さんの心は晴れやかではありませんでした。「当時の我が家にとって愛犬といえる存在はシャドーのみ。ナイーブな性格のシャドーが突然のメイとの同居にショックを受けるのではないかと、心配でなりませんでした。それに正直言って、私自身、当初はメイを迎えることにすごく戸惑っていたんです。慎重な性格で家族にだけ心開いてくれるシャドーに比べて、メイは捨て犬だったと思えないほど誰にでもフレンドリー。よく言えば天真爛漫ですが悪く言えば、好き放題な性格(笑)。トイレトレーニングもできていなくて、どこにでも粗相をしてしまうので最初は本当に大変でした」。

メイ(左)とシャドー(右)

メイ(左)とシャドー(右)

そんな事情もあって、1日でも早くメイに新しい家族を見つけたかった諸星さん。ジャックラッセルテリアの飼い主らで運営する団体の会員に「里親募集」を呼びかけましたが、なかなか良い出会いに恵まれません。「ジャックラッセルは決して飼いやすい犬種ではありませんし、適正飼養の環境が整っていないご家庭に安易に渡してしまうと、結局、不幸な結果に終わるケースも多いのです。だからどうしても慎重にならざるを得ず…」。

そしてメイと出会ってから約1か月後、ついに諸星さんはメイを自分で飼う決意をします。「実はこの時点でもまだメイとの心の溝は埋まっていませんでした。でも、メイがうちに来たのには何か意味があるに違いない。私は自分の役割を果たそう…と覚悟したんです」。記念に諸星さんはメイにマイクロチップ装着と狂犬病予防注射をプレゼント。シャドーが取り組んでいたエクストリーム競技の仲間にも、メイを新しい家族として紹介しました。

ものおじしない性格のメイは、瞬く間に新しい生活に順応。エクストリーム競技でもメキメキと頭角を現しました。するとそんなメイに刺激されたのか、シャドーも以前に増してトレーニングを頑張るように。「私と夫もだんだんメイのいる生活に慣れ、メイとの間の見えない溝が少しずつ埋まっていったのです」。

メイ、保護犬救済を訴えるCMに出演!

銚子にて

銚子にて

その後、すでにモデルとして活躍していたシャドーの後を追って、メイもモデルデビュー。テレビ番組や雑誌、Webサイトなどで活躍する機会が増えていきました。諸星さんの懸命のトレーニングが功を奏し、メイは子犬のころには予想もできなかった人生ならぬ「犬生」を送ることができるようになったのです。

そんなある日、知人から「テレビCMのオーディションがあるんだけど、メイちゃん、出てみない?」との誘いが。「なんのCMなのかもしらないまま受けにいったところ、メイを見た審査員の方が即断してくださって、あれよあれよという間に出演が決定。そこではじめて何のCMかを知った私は、びっくり!思わず絶句してしまいました」。

なんとそのCMは某製薬会社が、保護犬や保護猫の殺処分ゼロを目指す活動の一環として制作するものだったのです。「元保護犬だったメイが、図らずも保護犬を救うためのCMに出演することになるなんて…。もしも家具店の夫妻に保護されなかったら、友人が私に電話してくれなかったら、私が家具店に会いに行かなかったら、私が誰かにメイを譲っていたら…、メイがこのCMに出演することはなかったでしょう。一度は捨てられた犬も、人との出会い次第で幸せな生活を送ることができること、そして様々な役割を果たすことができるんだということをメイは身をもって私たちに教えてくれたのです」。
保護犬だったメイたちを通じて保護犬救済を訴えたCMは評判を呼び、今でも動物病院で放送されたり、ポスターとなって掲示されたりしています。

メイ、ご主人と一緒にカヤックに挑戦!

メイ、ご主人と一緒にカヤックに挑戦!

メイが諸星家に来て10年余り。シャドーは15歳、メイは10歳を超えましたが、2頭ともまだまだ元気。毎日のお散歩やトレーニングも欠かしません。一番の楽しみは年に何度か家族全員で出かけるドライブ旅行。北は北海道から南は鹿児島まで日本中を旅しています。「あとどのぐらい一緒に過ごせるのかわかりませんが、シャドーとメイには1つでも多くの『足跡』を私たちの心に遺してほしいと思っています」。

 

■しゃベル ニッポン放送

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