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6.222016
しゃベル ✕ ワンブランド わん!ダフルストーリー Vol.17
我が家の「番犬」・ペロが行方不明に!?
■番犬としての才能は…?
日本海に面した山口県長門市で水産加工業を営む木村和義さん・弥生さん夫妻。3人の息子たちのうち上の2人はすでに独立、今は高校生の3男、そして愛犬のペロと一緒に暮らしています。9年前、ペロが木村家にやってきたのは、ある事件がきっかけでした。
なんと工場の事務所に空き巣が入り、約20万円の売り上げを盗まれてしまったのです。有能な番犬だった先代の愛犬が15歳で亡くなった直後の事件だっただけに、木村さんは「やはり家に犬がいてくれた方が安心だ」と実感。友人に相談したところ、ちょうど生まれたばかりのラブラドールが里親を探しているという情報をキャッチ。さっそく貰い受けて「ペロ」と命名、木村家の2代目の番犬としてデビューさせることになりました。
「とはいえ、人懐っこいペロは番犬としての才能はほぼゼロ!誰が来ても吠えもせずにニコニコと尻尾を振っているので、『ペロは番犬には向いてないね』とよく言われます」と木村さんは苦笑い。
愛嬌たっぷりでマイペースのペロは、木村さん一家やご近所の皆さんに可愛がってもらい、すくすくと成長。毎日、木村さんと一緒に事務所に出勤しては、出入りの業者さんや宅配便のお兄さん、近所の皆さんに撫でてもらったりオヤツをもらったりして過ごしています。
「番犬としてはイマイチですが(笑)、今やペロは我が家にとってそれ以上の存在。ペロのいない生活は考えられません」と話す木村さん。実は数年前、ペロが自分たちにとっていかに大切な存在かを実感させられる出来事があったそうです。
「ある朝、ペロが突然、行方不明になってしまったんですよ」。
■クリスマスの朝、忽然と消えたペロ
その「ペロ行方不明事件」が起きたのは、数年前のクリスマスの朝。いつものように、木村さんが様子を見に行くと、定位置にペロの姿がありません。繋いでいたはずのリードごと、ペロは忽然と姿を消してしまったのです。
「実は、それまでも何度か脱走したことがあったのですが、いつも庭先や隣の家のあたりをウロウロしている程度だったので、今回もそのうち戻ってくるだろうと思っていたんですよ。ところが、その日はしばらくしても戻ってこないし、近所を探してもどこにもいません。だんだん『車に轢かれてしまったのではないか』『誰かに連れ去られたんじゃないか』と悪いことばかりが頭に浮かんでしまいました」。
心配のあまり、居ても立っても居られなくなった木村さんは、いつもの散歩コースまで探しにでかけましたが、それでもペロは見つかりません。
数時間後、途方に暮れていた木村さんのもとに、ご近所の顔見知りの方から
「木村さん、大変!ペロちゃんが落ちてるよ!」との一報が。
そう、ペロは海岸近くにある深い側溝に落ちたまま、身動きが取れなくなっていたのです!
「怪我でもしているのでは!?」と大慌てで現場に駆け付けた木村さんの目に飛び込んできたのは……。
まるで「モグラ叩き」のように、側溝から出たり消えたりするペロの顔でした!
人間の肩くらいまでの深さがある側溝に落ちて出られなくなったペロは、なんとか側溝から飛び出ようと、無言でジャンプ→落下を繰り返していたのです!
「まるでマンガのような間抜けな動きに、思わず大爆笑。脱走したのを叱る気も失せてしまいました。吠えたり鳴いたりすれば、もっと早くみつかったのでしょうが、ペロは単に無言でジャンプしていただけですから、なかなか気づかれなかったんですよね(笑)」。
この事件を通じて木村さんが改めて感じたのは、近所づきあいの大切さ。「日頃から散歩中に挨拶したりして、近所の方にペロの顔を見知っておいてもらったのが良かった。ペロを見つけた方が『あれは木村の犬だ』ってご存知だったから、すぐに知らせてくださったんです。どこの犬かわからなかったら、ペロを助けてやるのがもっと遅くなったかもしれません」。
■親と子、夫と妻を繋ぎ、家を守るペロ
このように、時折、小さな「事件」を引き起こしては、木村家に笑いのネタを提供してきたペロも、今年でもう9歳。最近は年相応に落ち着いてきました。
「ペロだけでなく、うちの子どもたちも大人になりました。ペロが来た9年前に高校生だった長男は九州、次男は東京で働いていて、家に戻るのは年に1,2回ですね」と木村さんは少し寂しそうです。しかもせっかく帰省した息子たちとも、お互いに「照れ」があって、何を話していいのかわからないことも多いと言います。
「そんなときは、息子をペロの散歩に誘うんですよ。ブラブラとペロを連れて歩くだけなんですが、不思議と話が弾みますね。ペロの思い出話から始まって、仕事のことや将来のことまで、いろいろと腹を割って話ができる嬉しい時間です」。
その素敵な「散歩効果」は、奥様との間にも!
「子どもが成長すると夫婦二人きりで過ごす時間が増えるでしょう?そうすると、だんだん会話も少なくなるっていいますけど、うちの場合はペロがいるから、話題は尽きません。朝夕のペロの散歩にも出来る限り一緒に出掛けて、あれこれ話をします。家族のメンバーがペロの存在を介して、しっかり結ばれているんですよね。その意味で、ペロはうちの家族の守り神みたいな存在なのかもしれません」。
当初の木村さんの思惑とは違い、泥棒除けの「番犬」というイメージとは程遠いペロ。でも、木村さん一家をしっかりと守る「番犬」であることは、間違いなさそうです。