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2.232017
しゃベル ✕ ワンブランド わん!ダフルストーリー Vol.52
40数年前の悲しい記憶を乗り越えて…。~愛犬ノンが開いてくれた新たな世界
■偶然出会った「運命の子犬」
新潟県長岡市に住む高田陽子さん。子どもたちはすでに独立し、今はご主人と2人で暮らしています。高田さん夫婦の宝物は、愛犬のノン(メス、7歳、パピヨン×ポメラニアンのミックス)。ノンとの出会いは、文字通りの偶然でした。たまたま見ていたテレビ番組でティーカッププードルを目にした陽子さんが「へぇ、あんなに小さい犬がいるのね~」と興味を持ち、ネットで「ティーカッププードル」を検索。たまたまヒットしたペットショップのページをクリックしたところ…、目に飛び込んできたのがノンの写真だったのです。
「それまで、犬を飼うつもりなんて全くなかったのに、一目で、この子はうちの子になる!と直感、すぐにショップに連絡を入れました」と振り返る陽子さん。
「お店の人には『この子はヘルニア持ちなので、将来、おそらく手術が必要になります』と言われ、主人には反対されましたが、どうしても家に迎えたくて…。待ちきれなくて長岡から都内まで迎えに行ったほどです」。
ノンがやってきてから、高田さん夫妻の生活はぐっとアクティブに!毎日のお散歩や休日のおでかけや泊りがけのドライブ旅行などに出かけるようになり、夫婦間の会話も増えました。幸い、お店の人に言われたヘルニアの症状も出ておらず、ノンは7歳を過ぎた今も元気いっぱいです!
「仕事帰り、家の近くまでくると、窓辺に座るノンのシルエットが見えます。私たちの帰りを今か今かと待ってくれているんですよ。その気持ちが嬉しくて…。犬って本当に何の見返りも求めずに、私たち人間を愛してくれるんですよね」。
愛らしいノンとの楽しい暮らしは幸せそのものですが、その一方で、陽子さんの胸に40年ほど前の悲しい思い出がよみがえってきました。
■保健所に連れていかれた、白い犬の記憶
それは陽子さんがまだ小学生だった1970年代当時、実家や近所で飼われていた犬たちの思い出です。当時の日本ではまだ犬を「家族」として飼っている家庭は少なく、多くは「番犬」として屋外で飼っていました。「室内飼いをしている家はほとんどなく、犬たちはほぼ1年中、外で飼われていました。去勢・避妊やフィラリア予防も今ほど一般的ではなく、食事も残り物がほとんど。今にしてみれば犬たちの生活環境は決して良くありませんでした」と振り返る陽子さん。増えすぎてしまった子犬や年老いて番犬の役を果たせなくなった犬が「処分」されることも、当時は珍しくなかったといいます。
「40年以上経った今でも忘れられないのは、生まれたばかりの子犬が川に流されていく光景。流している人に『あの犬たちはどうなってしまうの?』と聞いたら、こともなげに『魚のエサになる』と…。ものすごくショックで悲しくて…。でも、当時の私には何もできませんでした」。
もう1つ、今でも陽子さんの脳裏に深く刻まれているのは、知り合いが飼っていた白い犬の顔。
「とても可愛い犬だったのですが、ある日突然いなくなってしまいました。後で聞いたところでは、年をとって番犬としての役目を終えたからという理由で、なんと飼い主自ら保健所につれていったとのこと。当時は、それがごく当たり前のこととして行われていたんです」。
ノンとの暮らしがきっかけで、長く胸の中に封印されていたこの思い出を甦らせ、もう1度、考えるようになった陽子さん。
「私は子どものころ、命の大切さを学ぶことができていませんでした。動物の命も人の命と同じく、世界に1つだけの貴重なものであることや、動物の命を尊重する気持ちの大切さも、子どものころ、誰も教えてくれませんでした。それがとても悲しいのです」。
ノンとの絆が強くなればなるほど、陽子さんは、今の子どもたちには自分のような子ども時代を過ごしてほしくないと強く願うようになりました。
■子どもたちに命の大切さを伝えたい
そして、陽子さんはこの春、夢に向かって第1歩を踏み出すことを決めたのです。皮きりは3月に都内で行われる動物愛護関係のセミナーへの参加すること。
「日本の動物愛護の現状を正しく知り、何が問題なのかをしっかり学びたいと思います。そして、将来的にはその知識をベースにして、子どもたちに命の大切さ、動物と暮らすことの素晴らしさを伝える活動、具体的には紙芝居を作って幼稚園や小学校を訪問するボランティア活動をしたいと考えています」と話す陽子さん。
「ノンと出会うまで、犬や猫の殺処分や日本の動物福祉を取り巻く問題について深く考える機会もありませんでしたし、子どもたちのために自分が何かできるなんて夢にも考えていませんでした。すべてはノンのおかげ。未知の世界に目を開かせてくれたのもノンですし、自分の可能性に向かって背中を押してくれたのもノンなのです」。
最近、自分とノンとのあの偶然の出会いは、子どもの頃の悲しい記憶としっかり向き合いなさい、という何かのメッセージではなかったのかと、思うようになったという陽子さん。
「40数年前に救うことができなかったあの犬たちのためにも、これから1つでも多くの命を救うためにも、そして私に新しい世界を開いてくれたノンへの恩返しのためにも、今後はライフワークとして、動物愛護の問題に関わっていきたいと願っています。やる気にさえなれば、身の回りにもできることはきっとたくさんあるはず。ノンとの暮らしも楽しみながら、無理せず、自分のペースで頑張っていきます」。
夢に向かって第一歩を踏み出す陽子さん。陽子さんの想いが、一人でも多くの子どもたちに伝わることを願ってやみません。