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2012年1月半ば、ONE BRAND取材班はTBSアナウンサーでONE LOVE賛同者の秋沢淳子さんとともに、福島県動物救護本部第2シェルターを訪ねた。同シェルターには、福島第一原発の半径20キロ圏内から救出された犬や猫が保護されている。震災からもうすぐ1年。被災動物を取り巻く状況はどう変わったのか?そしてこれから、何が必要なのか?保護の現場で見た被災動物の“今”をリポートする。
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元パチンコ店を改装し利用している。
トリミングルームや診察室も完備。
散歩は3日に1回

 取材当日、三春町の気温はわずか2℃。降りしきる雪の中、スタッフの皆さんは朝から、ミーティング→犬舎や施設の清掃・消毒→犬たちの散歩→給餌と、いつも通りの作業を進めていた。海外のシェルターを参考にしたという室内は清潔で暖かく、犬たちは1頭ずつ半畳ほどの広さの「個室」を与えられている。なかなか快適そうだ。

 しかし、問題もある。取材当時、シェルターには犬85頭、猫26頭が保護されていたが、スタッフはボランティアを入れても12名のみ。慢性的な人手不足で、毎日全ての犬の散歩をすることはできず、犬たちは3日に1回程度しか散歩に行けないのだという。それを聞いて、いても立ってもいられなくなった秋沢さんと取材班、早速散歩をお手伝いさせてもらうことにした。犬たちは大好きな時間を迎え大喜び! 冷たい雪をものともせず、軽い足取りで嬉しそうに歩いてゆく。秋沢さんと取材班の計6名は、2時間で30頭ほどの犬を散歩に連れ出すことができた。

スタッフも被災者
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シェルタースタッフの渡辺さん。
シェルター運営には多くの人手と資金が
かかり、まだまだ皆さんの協力が必要だと話す渡邉獣医師。
 シェルターで事務管理を担当している渡辺美恵子さんは「もう少し人手があれば、全ての犬を毎日散歩に連れて行ってあげられるのですが…」と話す。実は渡辺さんをはじめ、シェルターの常駐スタッフのほとんどが被災者だという。渡辺さんは警戒区域に指定された富岡町から逃れ、現在郡山市内で避難生活を送っている。愛猫の「ボン」は地震直後に富岡町ではぐれたきり、まだ見つかっていないそうだ。「もしかしたら、ボンもどこかで誰かに保護されて面倒をみてもらっているかもしれない。私はそのご恩返しがしたいという気持ちもあって、ここで働くことにしたんです。震災前は本当に地震を軽く見ていて、いざという時にボンをどうするか、考えたことすらなかった。それが今、すごく悔やまれます」

シェルターの役割も変わりつつある

一方、同シェルターで暮らす犬・猫の9割近くは、すでに元の飼い主が見つかっている。しかし、経済的理由や仮設住宅暮らしのため一緒に住むことができず、ここに預けられたままになっているのだ。

 一般的にシェルターはあくまでも一時的な収容施設と考えられているが、センターに常駐している獣医師の渡邉先生は「今回の原発事故の影響は短期間で解決できるような簡単な問題ではない。シェルターの役割も通常のケースと違うのが当たり前だと思う。里親やホストファミリーへ動物たちの譲渡を進めた上で、運営資金や収容力に余力があれば、仮設住宅など課題の多い環境で無理して飼っている犬や猫、県外に保護されて会うことができないペットをシェルターで一時的に預かり、その上でその飼い主も気軽に面会いにきてもらう。さらに飼い主もペットも自立の道を探す。そんなシェルターが今の私の理想です」と言う。

震災から時が経つにつれて、被災した飼い主や動物を取り巻く環境は刻々と変わっている。支援する側も、支援の内容やスタイルを変えていかねばならないということだろう。

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ボランティアが少ない今、特に募集中!
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張り切って、犬を連れお散歩をする秋沢さん。藪の中、雪だまりの中へと進む犬たちを見て嬉しそうな顔に。
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お散歩に出ると先へ先へと急ぎ嬉しそうな顔をする犬たち。
散歩は人と触れ合う大切な時間でもある。
ボランティア募集中!

 このようにシェルターでの保護活動が長期化すると、一番の課題となるのは人手の確保だ。震災直後は首都圏からのボランティアも多かったが、今は減っているという。特に平日は仕事や学校を休んで参加できる人が限られるため、数が少ない。福島県動物救護本部では現在もボランティアを募集中だ。責任をもって参加できるように県への事前申請が必要になるなど条件がいくつかあるが、数時間だけ、1日だけの参加も可能(※)。1人行けば、少なくとも数頭は散歩に行ける犬が増える。犬の喜ぶ様子を間近に見られるので、とてもやりがいのあるボランティアだ。

 時間ぎりぎりまで犬の散歩を続けた秋沢さんは「残念ながら、被災地の動物に関する情報が少ないので、被災地以外の地域では『もう大丈夫だろう、落ち着いただろう』という誤解が生じているような気がします。私はメディアの人間として、一人の飼い主として、今日見聞きしたことをできるだけ多くの方に伝えていきたい。特に人手不足です。早く何とかしなくては!ブログや番組でボランティア募集をPRします!」と話していた。

もちろんONE BRAND の思いも同じ。変わりゆく被災動物の状況やニーズを皆さんにお伝えするために、今後も被災地での取材を続けていく予定だ。

※福島県動物救護本部 HP http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm

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スタッフの皆さんと秋沢さん
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